建築アレコレ第五回
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第五回は坂の話です。
仕事柄、港区や千代田区などに行く私が、良く見かけるのが「~坂」という1メートルくらいの標識です。調べてみると、東京で名前の付いている坂は700以上もあるそうです。目に留まるわけです。かつて住んでいたアメリカやオーストラリアにも当然、坂はありましたが、有名な坂はあっても、名前がない坂の方が多かった気がします。
有名がどうかは微妙ですが、今、古巣のボストン・レッドソックスと対戦しているヒューストン・アストロズの本拠地にはかつてタルズ・ヒル(Tal’s Hill)という坂がフィールド内にありました。変わった形状の球場が珍しくないメジャーリーグにあっても、坂がある球場はそこだけで、選手からの評判はイマイチでした。そのためでしょう。2016年を最後に撤去されてしまいました。
日本の球場には坂はありませんが、街中にはなぜこんなに名前のある坂が存在するのか?フリーライターの本間めい子さんのコラムによると「江戸時代、(中略)現在のように地番はなかったため、目印がありません。そこで、坂に名前を付けることで目印の役割を持たせたのです。」とあります。アメリカなどの通りにはどんなに細くとも、「リンカーン・ストリート」や「ビクトリア・ロード」といった名前が付いているので、坂に名前を付ける必要がなかったのかもしれません。
日本の坂の特色としてネーミングの面白さもあります。例えば写真の「転坂(ころびざか)」。由来として書かれているのは「江戸時代から道が悪く、通行する人たちがよくころんだために呼んだ」とあります。髷を結った町人や武士がコロコロと坂を転がり落ちる様子を想像するのは、何とも楽しいものです。私もオーストラリアに住んでいた頃、弟の三輪車で家の前の坂を下ってタイヤが外れてしまう程のクラッシュをしたことがありました。5歳の子供には結構な坂に感じましたが、あの坂には名前があったのでしょうか?
これから秋も深まり、夏場に比べると外を歩きやすくなります。皆さんも地元の坂を上り、その名前の由来について思いを馳せてはいかがでしょうか。
それでは、また!
-------------------------------------------------------------------------------------------------松本重誠/まつもと・しげなり 1975年生まれ。オレゴン大学でジャーナリズムを学び、卒業後はライターとして活動。その後2012年から2017年までの間、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、ボストン・レッドソックス、シカゴ・カブスで斎藤隆、田沢純一、上原浩治などの通訳を担当した。現在は、邦友建設にて英語を使用する現場のマネジメント、及び営業職として建築業界という異業種で奮闘している。今後はインスタでも情報発信して行きますので、良かったらチェックしてください。
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